ハイパーインフレ対策に金が向いていない理由

ハイパーインフレの資産保全策として金(ゴールド)は向いていません。金で物は買えず、高率の課税がかけられるからです。

財政破綻の専門家は金に否定的

財政破綻に詳しい元モルガン銀行東京支店長の藤巻健史氏や、元ヘッジファンドマネージャーの横森一輝氏は、ハイパーインフレの資産保全策として金を所有することには否定的です。

物が買えない・価値がない

その理由を、横森一輝氏は経済倶楽部「ゴールドは破綻対策になりますか?」で詳しく紹介しています。主な理由は次の通りです。

  1. いざという時、金を使って買い物ができない
  2. 金は工業製品にほとんど使われておらず、金属としての価値がない

ロシアでは使えなかった

ロシアがハイパーインフレになった際、偽物の金が流通したため、人々から信用されず、使えませんでした。つまり、金を持っていても何も買うことができないのです。

また、日本国内では金を現金に換金できるところは少なく、ハイパーインフレ時に換金できるお店が倒産するかもしれません。つまり、換金自体にリスクがあるのです。

高率の課税がかけられる可能性あり

外貨建ての資産は高率の資産税がかけられるで紹介しましたが、銀行に預けたドル預金は高率の資産税がかけられる可能性があります。

金も同様に、高率の資産税がかけられる可能性があるのです。

日本経済新聞『金投資、変わる「常識」 思わぬ重税リスクも』で紹介されていますが、そもそも取得価格を証明する書類がなければ、金の売却価格の95パーセントを利益と見なして課税されます。

金を持っている人は経済的に余裕があり、国内では少数派なので反対運動が起きにくく、ハイパーインフレ時、金に対して資産税がかけられる可能性があります。

世界同時通貨安には有効

しかし、金は悪いことだけではありません。

日本の1000兆円を超える人類史上最高額のハイパーインフレが起これば、世界経済に深刻な影響を与え、世界中の通貨価値が同時に下がる可能性があります。

その時、金の価値は相対的に上がります。よって、世界同時通貨安時に、金は有効な資産保全策と言えるでしょう。

40パーセントの所得税がかかる

しかし、所得税の最高税率が40パーセントなので、世界中の通貨が40パーセント以上下落しないと、金は有利ではありません。

よって、金を買うのはリスクが高いのでオススメできません。